20020626223049
「業界人Cさん」に同情する
「こちらファーイースト・アミューズメント・リサーチ2002:恐怖!RPGに未来はあるのか!?」の三つの疑問点
<p><b>●はじめに</b></p><p>先日『<b>ゲーマーズ・フィールド別冊04 クールメカニクス</b>』を購入し、金澤尚子著「<b>こちらファーイースト・アミューズメント・リサーチ2002:恐怖!RPGに未来はあるのか!?</b>」(p.102~109)を読んだ。</p><p>このコミックは、(発言すべてが正しいわけでないにせよ)卓上RPGが持つ課題を鋭く突く意見に対し、結局「F.E.A.R.社のRPGが明るい未来に繋がっている」というお定まりの結論に行き着くことになっている。元々自画自賛と宣伝のための記事であるから、それは大変結構なことである。</p><p>ただ、私はこのコミックに三つの疑問を感じた。それらの中には重要な問題となりうることも含まれているので、ここに記しておきたい。</p><p><b>●論旨の整理</b></p><p>疑問点を出す前に、このコミックの粗筋を紹介しておく。もちろん掲載誌を購入していただくのが最善である。</p><p>まず「業界人Cさん」(以下、Cさん)なる人物が登場し、「<i>TRPG?あれはダメだね</i>」言ってから持論を展開する。その主張をF.E.A.R.スタッフがひとつひとつ否定していき、「TRPGの未来は明るい」と結んでめでたし、めでたし、となっている。その中で示される各々の主張は次の通りである。<dl><dt> 1) 「業界人Cさん」の主張(p.102~103):「TRPGの悪いところ」として</dt><dd>1-1)「<i>始めちゃうと終わる時間がはっきりしない</i>」「<i>時間をコントロールするのは不可能</i>」<br />1-2)「<i>プレイヤーがゲームとゲームの間に何もやることがないのもTRPGをダメにしている要因</i>」<br />1-3)「<i>マスターに負担がかかりすぎる</i>」「<i>シナリオ作らなきゃいけない</i>」<br />1-4)「<i>国産ゲームなんて下火で全然サポートもされてないんだから遊び続けられるわけない</i>」「<i>新作が出てない</i>」<br /> </dd><dt> 2) F.E.A.R.スタッフからの反論(p.104~108):1を「古い常識」として<br /></dt><dd>2-1)「ブレイクスルー機能」を用いれば、プレイヤーの行動に関わらずプレイ時間をコントロールできる。<br />2-2)最近はインターネット上でキャラメイクやプレイレポートを出すことができる。<br />2-3)最大の問題はシナリオ制作であり、最近では毎月1本のシナリオサポートがされているゲームがあるから、「マスターに負担がかかりすぎる」ということは減っている。<br />2-4)ソードワールドのリプレイ出版、トーキョーNOVAの10年来のサポート、毎月シナリオサポートされているゲームもある。また2002年には5月までに6本のシステムが発売されている。<br /> </dd><dt> 3) 「業界人Cさん」の分析と結論(p.108~109)</dt><dd>3-1) おそらくCさんは、自分がTRPGに興味がなくなり実際にはプレイしなくなったので、TRPGそのものがなくなったと思い込んでいる<br />3-2) 情報を集めなくなったからサポートもないと思っている<br />3-3) (Cさんは)すでにRPGファンじゃない<br />3-4) TRPGの未来は明るい</dd></dl><b>疑問点1:「業界人Cさん」の発言はいつされたものなのか</b></p><p>最も重要な疑問は、Cさんの発言がいつ行われたのか、ということである。手掛かりとなりそうな点は次の通りである。<ol><li>Cさんの主張の背景となっているらしきセリフ「<i>TRPG雑誌休刊か、TRPGも終わりかー</i>」(p.108)の通り、1995年から1999年にかけて『ログアウト』『コンプRPG』『RPGドラゴン』『電撃アドベンチャーズ』『RPGマガジン』の五誌が休刊となっている(一部は別雑誌として復刊。TRPG.netの<a href="http://www.trpg.net/magazine/" target="_blank">TRPG関連雑誌情報</a>を参照)。この時期には安田均氏が指摘するように「<i>RPGはどこへ行った? もう、滅びたのか?--と、ファンならずとも、思いたくなる</i>」(<a href="http://www.groupsne.co.jp/htm/htm/yomimono/nikki/game4/game4-1.htm" target="_blank">安田均のゲーム日記1998年6月30日</a>)という危機感がファンの間に確かにあった。「Cさん」の発言時期はともかく、論拠はこの時期にあると考えられる。<br /> </li><li>Cさんとの会話当時、金澤尚子氏は国産の新作RPGの出版状況をまったく知らなかったことになっている。<a href="http://homepage2.nifty.com/zuityou/trpgdate/year.htm" target="_blank">国内TRPG史</a>によると出ていない年は無く、仮に金澤氏が事情に疎いとしても、1995年の"トーキョーNOVA 2nd"は知っていたはずである。1996年以後はF.E.A.R.社から毎年新作が出版されているから、これ以後とは考え難い。<br /> </li><li>F.E.A.R.スタッフはこの発言を「古い常識を押しつけられた」ものとした上で、「ブレイクスルー機能」やインターネット利用に触れていることから、それらが確立/一般化した後と思われる。また「毎月のシナリオサポート」が「スーパーシナリオサポート」のことであるならば、それらが出版されはじめた後、即ちトレイダーズの1998年以後かトーキョーNOVAの2000年以後ということになる。さもなくば反論の意味が無いので。</li></ol>上記三つを満足する時期はありえないのではなかろうか。少なくとも私には皆目見当がつかない。</p><p>「業界人Cさん」の分析(3-1~3-3)は、発言時期がごく最近であることを前提としているようだが、そうだとすると上記3とは合うが、2と矛盾する。Cさんが金澤氏を不安に陥れたとは演出でしかなかったのかも知れない。もちろん発言時期が1990年代後半であれば、分析は3-3に至るまで適切なものとは言い難い。</p><p><b>●疑問点2:「業界人Cさん」とは何者なのか</b></p><p>第2の疑問は、「業界人Cさん」とは、何の「業界人」なのか、ということである。この答えは不明でも、少なくともRPG業界の人間ではないことは分かる。根拠は次の三点である。<ol><li>国産RPGの出版状況を正しく認識していない。</li><li>本人が「少々やり込んだ」(p.102)と言っている。これはRPG業界の人間の発言たりえない。</li><li>金澤尚子氏も「RPGファン」であるか否かを問題としている(p.108)。</li></ol>つまりは、一人の遊び手、アマチュアに過ぎないものと思われる。</p><p><b>●疑問点3:「業界人Cさん」はなぜ悪魔顔なのか</b></p><p>マンガ特有の描写として「業界人Cさん」のシルエットは、釣り上がった目とV字に裂けた口を持つ、いわば悪魔的な顔として描かれている。特に最後のページ(p.109)では明らかである。そのように描かれた理由が、最後の疑問である。三つの可能性が考えられる。<ol><li>金澤尚子氏が、「業界人Cさん」を、悪魔のように忌み嫌っているため。</li><li>読者に、「業界人Cさん」を、悪魔のように忌み嫌って欲しいため。</li><li>読者に、「業界人Cさん」と同じ発言をする者を、悪魔のように忌み嫌って欲しいため。</li></ol>真相が1だとしても、2や3の影響を及ぼしうる。心配しすぎと笑う者がいるかもしれないが、もし「業界人Cさん」のような者に対して「やっつけてやる!」などと敵愾心を燃やす者が現れることを私は恐れずにはいられないのである。</p><p><b>●「業界人Cさん」に同情する</b></p><p>上記三つの疑問点に対し、推測以上の答えは、私には出せそうに無い。だが、一介のアマチュアでしかない身でありながら、公の誌面で非難の対象となったCさんには(実在の人物であるとして)同情を禁じえない。</p><p>Cさんの発言には私も反論したい部分がある。だが、それは互いに公平な立場で、その課題の克服によってRPGの未来を探るために語り合いたい。F.E.A.R.もまたRPG発展に寄与していると認めはするが、今回の記事のような反論は暴挙でしかない。</p><p>もっともこのような文章を書いた以上、私もいつ悪魔顔の人物として俎上に載せられるか分からんけどね。</p><p><b>●おわりに</b></p><p>ここでは触れなかったが、Cさんの主張1-1の中に、「<i>プレイヤーの発言によってゲーム内容が変わってくる</i>」「<i>マスターも時間通りにお話を進められるわけがない</i>」というセリフが含まれている。私がRPG最大の魅力と感じるこの部分が二の次にされるのが、ある意味「ブレイクスルー機能」の特徴ではないかと考えている。</p><p>この問題については次回以降の雑記で、数回に分けて考えていく予定である。「<i>TRPGの未来は明るい</i>」か否かも。</p>
鏡
2002年06月26日22時30分
20020704222835
1
ぼくが思うたこと
<p>こんにちは。え~じです。</p><p>8月に交流会がないのは残念です。<br />運がよければ研修で東京にいける可能性がありましたので。</p><p>#現在審議中。(?)<br />##結果がわかるのは来週以降の予定です。</p><p>みなさんが「鏡の雑記10」で盛り上がってる中、<br />のんきにここに書き込みさせていただきます。</p><p>最初にこれから書くことは、<br />感情的に(論理的にではないと意味で)、</p><p> ・F.E.A.R.と金澤尚子さんが嫌い</p><p>という人の意見なので、<br />ある種のフィルターがかかっていると思います。<br />そこのとこを考慮して読んでください。</p><p>ただし、F.E.A.R.の製品は好きです。</p><p>#とりあえず、言い訳。(笑)<br />##だって、最近遊んだRPGのほとんどが、<br />##F.E.A.R.の製品ばかりやねんもん。(笑)</p><p>まあ、まずどこがメカニクスやねんという、<br />全国1000万人の読者*注)のつっこみは横において、</p><p>*注)残念なことですが、きっと1000万人もいないと思います。</p><p>ぼくもこのマンガを読んで、<br />??? と思いました。</p><p>ただ、ぼくの場合は鏡さんと違って、<br />疑問というよりは違和感って感じでした。</p><p>そして、ぼくは、</p><p> 「Cさんなんていないんとちゃうのん?」</p><p>と、考えました。</p><p>と云いますのも、<br />鏡さんも書いておられますが、<br />Cさんがどんな人物かよくわからない、<br />というのが一番の理由です。</p><p>そして、架空のCさんをつくり、<br />そのひとを槍玉に挙げることにより、<br />F.E.A.R.はこんなにがんばってるねんぞ!<br />と、読者に訴えかけたのかな?<br />という結論に至りました。</p><p>まあ、上記はかなりうがった見方なのかもしれませんが、<br />そんな、マンガで訴えかけなくても、<br />もっとストレートに製品の広告をすればよいことです。</p><p>さらに意見を云わしていただくなら、<br />こんなマンガを載せるより、<br />もっと、メカのお話を載せるべきでしょう。<br /></p>
え~じ
2002年07月04日22時28分
20020705120931
2
ありがちなプロモーションでは?
<p>これに類した宣伝は良く見ます。売れ行きの下がった商品、宗教、リスクの高い金融商品などによく見られます。あとは原子力発電とか。<br />印象は良くないですね。</p>
匿名希望
2002年07月05日12時09分
20020706233857
3
書込1と2への返答
<p>>え~じさん<br />8月いらっしゃる予定だったのですか。それは残念でした。8月に交流会を開かないのは暑さの他、忙しさのせいでもあったのですが…。もし都合が合えば、ゲームはできなくとも、お会いすることなどはできるかもしれません。宜しければメールでもいただければ幸いです(_ _)。</p><p>さて、「Cさん不在」説ですが…、可能性はありますね。不可解な部分の説明にはなりますから。もちろんその場合、モデルや想定される人物像などがより強く問題となりますが。</p><p>なお、メカについては、まあ、各ゲームとも遊び手を好きなマンガ等で想定しているのかな、と思いました(^^;)。</p><p>>書込2の匿名希望さん</p><p>それらと類似するところがあるとすれば、確かに印象悪いですねぇ(^^;)。金澤氏が気付かなかったなら、(色々な意味で)迂闊ですな。何にせよ、心配なのは「素直な読者」の反応なので、力及ばずながらもこういうところでツッコミいれてるのです。</p>
鏡
2002年07月06日23時38分