チャーリー・ジェイド

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正確には映画ではなく、アメリカのテレビドラマです。DVD10枚組に全20話が収められているのですが、私は15時間の映画のつもりで鑑賞しました。時間制限の無い映画がどうなるか、などという興味もあったためで、高かったのですが思い切って購入(^^;)。

要はパラレルワールド陰謀物なのですが、三つの「ヴァース」(世界)の内、陰謀の原点となる「アルファヴァース」がサイバーパンク風の世界なところが面白く、またその映像資料としても素晴らしい。公害のため空が見えない都市は、幾つかの大企業(ヴェクスコア、ハバコアなど)によって支配されています。人々は階級に分けられ、手に埋め込まれたチップと昆虫型カメラによって常に監視、管理されています。最も低い階級「C-3」などは人ではなく物扱い。人心は乱れ、犯罪多発。このような世界で私立探偵をやっているチャーリー・ジェイドが主人公です(階級はC2)。

緑色を基調に描かれるアルファヴァース以外の二つの世界、ベータヴァースは我々と同じような世界で基調色は青、ガンマヴァースはもっと自然豊かな極彩色の世界として描かれます。位置的にはすべて南アフリカ、ケープタウンが舞台となっており、その映像は見事です。

物語についてあまり紹介するのは控えます。幾層にも重ねられた陰謀が交錯し、三つの世界の命運を賭けた物語が展開していきます。最初の方は全体像や登場人物の実像が掴めず、複雑な構図から取り残された感がありましたが、じっくり時間を掛けて馴染む内、理解が深まっていきます。そしてテンポが合ったな、と思った辺りで、どんでん返し。またどんでん返し。最終話まで気が抜けません。

惜しむらくは、結局すべての陰謀が解決されずに終わること。アメリカのテレビドラマの定番であるセカンドシーズンの...、製作の...、検討中だそうです。ぜひ続きを作って欲しいようでもあり、これで終わっても十分満足していますが。

あえて点数をつけるならば、期待通りを100点として、120点。完結しなかった点が期待外れで減点されるも、予想を遥かに超える面白さは期待以上の評価に値します。値段の問題さえ解決できれば、誰にも推薦したい作品です。

余禄として、この作品のお陰でサイバーパンクというジャンルへの興味を多々掻き立てられました。...本腰入れて手を出そうかなぁ、とマジメに検討中です。