自由なダンジョンを反省する

ゲームマスター「じゃあ、残り時間で反省会をやろう。」

私がお勧めする「反省会」は、「手順8 : プレイを顧みる」で述べた通り、次のような手順で行われます。

  1. ゲームマスターが自分の良かった点と悪かった点とを語り、それについてプレイヤーから意見をもらう。
  2. 各プレイヤーが自分の良かった点と悪かった点とを語り、それについて他のプレイヤーやゲームマスターから意見をもらう。
  3. 時間があれば、今後のゲームプレイへの抱負を語り合う。

参加者の誰から語っても構いませんが、ゲームマスターから始めるのが無難でしょう。「自由に遊ぶ」ゲームプレイでは、自分自身が「自分が面白いと思う」ように遊べたか、が反省の基準となります。

ゲームマスターなら自分のゲームプレイ(マスタリング)について、特に「自分が面白いと思う」ようにできたところを「良かった点」として、「面白いと思う」ようにできなかったか、もっと「面白いと思う」ようにできたことを「悪かった点」として語ります。良かった点と悪かった点とは、どちらか片方だけでも構いません。

ゲームマスターの反省を聴いたプレイヤーは各々、その反省点について自分なりの意見を示します。ゲームマスター自身の「良かった点」が、自分にとっても「面白いと思う」ものであったなら賛意を、そうでなかったか、もっと「面白いと思う」ようになりえたなら異論を述べるのです。プレイヤー全員が意見を呈する必要はありません。

ゲームマスター「最初の情報はうまく出せたと思うよ。浅く広く、どこを突っ込んでもらっても良いようにできたから。悪かったのはダンジョンを大きく作り過ぎたことで、すべて回ってもらえなかったのが残念だった。」
プレイヤーB「良かった点にも悪かった点にも賛成。最初の老人のセリフのせいでダンジョンの謎への期待が高まったし、だからこそ最後まで行きたかったな。」
プレイヤーC「いや、僕はダンジョンはすべて回れないくらいが好きだよ。狭すぎるよりは謎が残るくらいでも良いと思うね。」

次いで、プレイヤーが一人ずつ、自分のゲームプレイ(プレイング)についての「良かった点」と「悪かった点」とを語ります。ゲームマスターの時と同様、そのプレイヤー自身が「自分が面白いと思う」ようであったか否かが反省の基準となります。そして、そのプレイヤーの自己評価に対して、他のプレイヤーやゲームマスターが賛意もしくは異論を呈します。

プレイヤーA「例の分かれ道での、目的変換は面白くできたと思うね。プレイヤーCさんからの一言のお陰だよ。あとは特になし。」
プレイヤーB「早変わりで面喰ったけどね。」
プレイヤーC「言った甲斐があったというものです。」
プレイヤーC「人身御供の件で、村へ寄った方が面白かったかな、と思ったよ。」
プレイヤーD「確かに。」
ゲームマスター「ダンジョン探索に時間をかけるのと、悩むところだね。」

良かった点も悪かった点も特に思いつかなければ、「特になし」で済ませて構いません。この場合、他の参加者からの意見を募ることもありません。賛意も異論も、相手が「面白いと思う」内容について述べられ、各々の視点を比較するところに意義があるからです。

他の参加者の発言を聞く内に、自分のゲームプレイについて反省する場合もありますから、念のため順番を後回しにしてもらうのが良いでしょう。

プレイヤーB「えぇと、特に思いつきません。」
プレイヤーD「同じく。」
ゲームマスター「じゃ、反省点についてはこの辺でお終いだね?残り時間で、今後の抱負など、どうぞ~。」

時間が余ったら、今後のゲームプレイへの抱負などを語り合います。次には、どういうシナリオを遊びたいか、どういうキャラクターで遊びたいか、など。コンベンションなどで知り合っただけの相手とでも、このように語り合うのは無駄にはなりません。この世にどのようなことを「面白いと思う」遊び手がいるか、知ることができるのですから。

プレイヤーがそのキャラクターを継続して使いたいなら、反省点を参考に、どのように成長させるかについて意見を募ることもできます。そのためには、「反省会」はキャラクター成長ルールの使用以前に行うのが良いでしょう。時間が無ければ、成長させる作業は帰宅後でも問題ありません。共に卓を囲んだ仲間との語り合いを優先させましょう。

プレイヤーD「もし続けられるなら、もう一度このダンジョンを探りたいね。あの分かれ道を...」
プレイヤーA「それなら、一度町に帰って、揃えたい装備が...」
プレイヤーC「このキャラクターの体力には不安があるから、成長させるか、新しいキャラクターを...」
プレイヤーB「今度はゲームマスターやろうかなぁ」
ゲームマスター「それなら、僕はこういうキャラクターをやりたいなぁ。」(完)