Everway , キャラクター作成 (1998年執筆)

本論考は、1998年11月20日と11月29日とに発表されたものです。文中の趣旨が、現在の筆者の考察とは異なる場合もありますので、ご注意願います。

Everwayサンプルプレイのレポート、キャラクター作成編+α

11月7日(土) キャラクター作成

この日はサンプルキャラクターを用いて付属シナリオをプレイする考えであったが、プレイヤーが一人しか集まらず頓挫。そのプレイヤー(Y.S.さん)の希望により、キャラクターの自作を試みることにした。

以下に、その際の経過を追いながら、このゲームのユニークなキャラクター作成について触れてみよう。

エヴァーウェイのキャラクター作成には、ダイスは使わない。プロの絵描きの手によるカード(Vision Card)を見てイメージを膨らませ、そのイメージを元にポイントを割り振って能力等を決定するのである。作業は、六段階の手順に従って進む。

(プレイヤーY.S.さんの場合)

1、The Vision Stage

まずマスターが前提条件(Premise)を与える。「次元の旅人(Spherewalker)であること」「仲間と共に行動していること」「現在はある世界(Realm)の領主の食客であること」を私(鏡)は指定した。

90枚のヴィジョンカード(別売カードによる増加可能)から好きな5枚を選択し、背景設定もしくは人格形成の手がかりとする。彼が選んだのは次の5枚のカード。

  • (V26)階上の欄干越しに、軍隊の行進を、小動物と共に見下ろす子供
  • (V37)虎の頭を持つ、武装した戦士。背後には黒豹頭の戦士が二人立つ
  • (V41)広間で踊る妖怪たち。月と太陽を象った飾り物が散らばっている
  • (V77)部屋の中、ひとり佇む若者。泣いているのか、笛を吹いているのか?
  • (V23)鏡に半裸の姿を映す女性。足元には仕立て屋が蹲っている

Y.S.さんが作り出した物語は...

"彼は光の妖精国の王子であったが、幼少の頃"虎将軍"率いる闇の妖精軍に祖国は征服された。かつて陽光と月光に照らされた光の宮廷は、魔物と魍魎が我が物顔に踊る異世界に。王家の生き残りである彼は人質として幽閉され、かげろう猫のシーズィーと共に、笛を吹きつつ成長した。ある時彼の元に"魔法の仕立て屋"が訪れる。彼は不思議な鏡を使い、王子の乳兄弟にして無事逃げ延びていた侍女ライシャと、王子の心を入れ替える。今や女性の体と自由を得た王子は、終わりの知れぬ旅に出た。闇の者が突然力を得た秘密を暴き、闇を祓う力を持つ仲間を募り、そして故国に平和を取り戻すために..."

2、The Identity Stage

先の設定等に基づき、中心的な設定を決めていく。

名前は「"光変える"エルア(ELUA the Lightchanger)」、旅の動機(Motive)は「故国奪還のための力・知識・同朋を求めること」と決まった。

次に、行為判定にも用いる36枚のフォーチューンデッキ(Fortune Deck)を見ながら、美徳(Virtue)、弱点(Fault)、運命(Fate)を決定する。美徳は、「戦争 WAR」の正位置で、「偉大な努力」。弱点は、「鎧を着て溺れる DRAWING IN ARMOR」の正位置で、「守護が危機に転ずる」。運命は「 KING」で、「権威」と「暴君」の葛藤、と決まった。

これ以後、合計20ポイントの作成ポイントを消費しながら能力を取得していくこととなる。内訳は、特殊能力であるPower、火地風水の四能力、そして魔法である。

3、The Powers Stage

人並み外れた特殊能力(Power)を決定する。ルールブックやサンプルキャラクターに多くの例が見られるが、あくまでサンプルであり、自分で作り上げて良いことになっている。しばらく考えた結果、Y.S.さんは次のような能力を創造した。

  • 星から方角や暦を知ることができる。0ポイントのFree Powerとして取得。
  • 光を支配する。淡い光から幻影を作りだしたり、一国の夜を昼のように明るくすることができる。真夜中の1時間は使えないが、正午頃は最強となる。4ポイント。

4、The Elements Stage

四大によって象徴される四種類の能力値を決定する。「(Fire)」は能動的な能力で、運動や攻撃に用いる。「(Earth)」は受動的な能力で、生命力・耐久力を表す。「(Air)」は知性や理性を表す。「(Water)」は感性や直感である。また各々にひとつずつの得意分野(Speciality)を決め、そのことに関しては、能力値を+1して用いることができる。3が常人並、6が普通の人類の上限。英雄であるSpherewalkerはそれ以上も許される。

エルアの能力値は、「火」が3(炎に耐える4)、「地」が3(魔法に耐える4)、「風」が5(歌唱6)、「水」が5(闇の力に気付く6)と決まった。

5、The Magic Stage

魔法は先の四能力のいずれかに属し、それが「魔法」値以上であることを前提とし、そのレベルによって可能なことが決まる。常人に対しては極めて強力なものとなる。ルールブックには四種類の例が示されているが、先の特殊能力同様、これも自分で作って良い。

エルアは既に20ポイントを消費しており、魔法は取得しないこととした。

6、The Questions Stage

最後に、いくつかの質問をすることで、その人物像を固める。まずはルールブックにあるオーソドックスな質問("あなたの最も注目さるべき能力は?"、"あなたが最も恐れるものは?"など)から始め、徐々にそのキャラクターならではの質問("あなたが王座に着いたら、何をする?"、"鏡を使う仕立て屋とあなたの関係は?"など)に移っていく。

以上をまとめると、Y.S.さんのキャラクターは次の通りである。

"光変える"エルア(ELUA the Lightchanger)
動機:故国奪還のための力・知識・同朋を求めること
美徳:「戦争 WAR」の正位置=「偉大な努力」
弱点:「鎧を着て溺れる DRAWING IN ARMOR」の正位置=「守護が危機に転ずる」
運命:「王 KING」=「権威」と「暴君」の葛藤
特殊能力:
  • 星から方角や暦を知ることができる。(0)
  • 光を支配する。淡い光から幻影を作りだしたり、一国の夜を昼のように明るくすることができる。真夜中の1時間は使えないが、正午頃は最強となる。(4)
能力値:
  • 火3(炎に耐える4)
  • 地3(魔法に耐える4)
  • 風5(歌唱6)
  • 水5(闇の力に気付く6)
  • 魔法:無し

二人とも初体験で、ルールブックを首っ引きだったが、所要時間は1時間半ほどであった。長いのか短いのかは正直分からない。が、非常に楽しく刺激的な時間を過ごした。

(私=鏡の場合)

時間が余ったので、私も試しに作ってみた。

  • (V36)高所の木の枝から吊るされた檻の中の子供たち。
  • (V76)暗闇の中、厚い書物を抱くローブの男。
  • (V51)火の消えた蝋燭を持つ東洋人の男。背後には銅鑼がある。
  • (V86)炎に包まれた卵と、それを抱くフェニックス。
  • (V77)泣いている女性。手には何かを持っている。
"我々は何も知らず、何もできず、危険の中にある弱き者"
"我が家に伝わる真理を記した本は、邪な神官に盗まれた"
"私の心は火が消えた様だ。私を鳴り響かせるものは何か?"
"炎の中から生を、すべての真理を得るのだ"
"私にペンダントを渡し、見送った婚約者。彼女の涙の意味が私には分からない"

最後のV77をY.S.さんも使っていることに注目されたい。同じカードでも、プレイヤー次第で異なった意味に読まれるのだ。

さて、このカードリーディングを元に作られたキャラクターは以下の通り。

グドウ(Taoseeker;東洋風世界の名家の跡取)
動機:世界の真理を見出すこと...とりあえずは、本を取り戻すこと
美徳:「一角獣 UNICORN」の正位置=「純粋さ」
弱点:「隠者 HERMIT」の逆位置=「協調性の欠如」
運命:「道化 FOOL」=「自由」と「人脈の欠如」の葛藤
特殊能力:
  • どのような姿勢でも眠ることができる。(0)
  • 鋼の皮膚。特殊な呼吸で皮膚を硬くし、いかなる武器にも傷つくことがなくなる。強い炎、毒、病気、落下などには効かない。(2)
能力値:
  • 火6(格闘戦7)←ドラゴンやグリフィン並
  • 地4(苦痛に耐える5)
  • 風3(礼儀作法4)
  • 水5(殺意に気付く6)
  • 魔法:無し

ファンタジー小説をあまり読まない私は、Y.S.さんより苦戦した。結局正統派とは言えないが、自分としてはまあまあの出来なのではないかと思う。

夕食に丁度良い時刻になったので、この後二人で食事をし、コーヒーを飲みながら先々のことなど話し合った。最大の問題は、なんと言っても他のプレイヤー。どうすべきか?ネット上で一般公募してはどうか、というアイデアも出たが...。

果たして実際のプレイなるか?次回は11月28日の予定!

(以上、11月20日掲載)

11月28日(土) プレイ失敗!

結局プレイ希望者がY.S.さんだけで、やむなく断念。残念至極...。果たして我らのプレイに未来はあるか!?次回を待て!!(苦笑)

(以上、11月29日掲載)