パンティ爆発を語るを語る

回りくどいタイトルの今回は、オンラインではなく、RPG雑誌における記事を扱います。

  • 友野詳「バカバカRPGを語る」第5回「パンティ爆発
    (Role&Roll誌Vol.26、p.54~55、新紀元社2006年10月発行)

友人との話題でAtarashi Games社の「Panty Explosion」が出まして、買ったけど読んでなかったPDF版(10ドル)に目を通しました。併せて思い出したのが上記記事なのですが、読み比べるとルールをかなり間違えて紹介しています。著者はろくに読まぬままJGC2006のトークショーで語ったそうですが、記事にする前にも読み直さなかったようです。まず、明確な誤りを指摘しておきます。

  • 誤 : PCは全員、超能力者の女子高生となります。他の選択肢はありません。
    正 : PCは全員女子高生で、その内少なくとも一人が超能力者となります。
  • 誤 : 15点を「ゴダイ=五大」にわりふります。
    正 ; 5点、4点、3点、2点、1点を「ゴダイ=五大」にわりふります。
  • 誤 : 場面ごとに、PC間で相互に「人気投票」を行い
    正 ; ゲーム内の1日ごとに、PC間で相互に「人気投票」を行い
  • 誤 : 超能力を使えば、D10が振れます。特技を活かせる場面ならD12です。
    正 ; 超能力を使えば、D10が振れます。なお特技は超能力には適用されません。

さて、このゲームシステムには面白い点が多々あります。「呪われた力」である超能力の禍々しい描写。記事では「イヤボーン」と紹介された「Make Heads Explode」(頭を破裂させる)のコントロールできなさ振り。「人気投票」の戦略性。その「人気投票」で超能力少女は絶対に人気者になれないこと。また、場面(Scene)をゲームマスターとプレイヤー全員とで共同で設定していくルールは秀逸で、誰にもコントロールできないプレイが楽しめそうです。

マジメに読めば実によくできたゲームシステムなので、それが「バカバカRPG」の一言で片付けられないことを祈るばかりです。…いや、題名が題名だから完全には避けられないだろうけど。

ところで、十二支を月に配するなんてマイナーな習俗、よく知ってましたよ、このデザイナー。荒俣宏の『帝都物語』にも出てくるから日本人なら知っていても不思議ありませんが…。しかも1月を「子の月」とするのは漢代まで遡るそうで、何も現代物にそんな古式を持ってこなくても良さそうなものですが、ちゃんと勉強していることには感心しました。

製本されたルールブック(20ドル)を注文しましたので、読んでからまた何か書くかも知れません。