「ルール」と名付けば「制限」、には非ず

水無月冬弥さんからいただいたトラックバックへのお返事です。意見交換を楽しませていただき、感謝しております。

分かろうと努めながら「分からない」を連発せざるを得ないこと、お気の毒に思います。それでも、私が「分からせてあげる」のではなく、水無月さんが「分かる」かどうかなのですから、頑張ってください。アドバイスとして、水無月さんは諦めるのが早過ぎるようなので、もう少し粘って(数日間)考えると良いでしょう。もっとも、論考の背景に類似する経験が足りなければ、どうしても理解できないこともありますが。

さて、順番にお答えしてまいります。

「自由度」については、「自由度と自由とは別物」以降で幾度か説明しています。「斜め読み」で読み飛ばされたのでしょうか。ここで言う「自由度」とは、「ゲームマスターが許可する、プレイヤーキャラクターの行動をプレイヤーが決めて良い範囲」のことです。「自由に遊ぶゲームプレイ」では、ゲームマスターにそのような権限がありませんから、「自由度」もありません。

「誘導」については、「自由と管理、各々での誘導」をご覧下さい。こちらが分かり難かったのは、私の配慮不足です。申し訳ありません。

「ハンドアウト」は「管理」のための一技法と考えます。「ハンドアウト」を示されたとしても、プレイヤーが全員それらを選ばず、無視しても良いなら、「自由に遊ぶゲームプレイ」となります。あるいは、選んだとしても、内容をゲームマスターに断りなく変更しても良いなら。けど、「ハンドアウト」を用いるゲームプレイなら、そうすべきではないと思うのですよ。

あと、「制限」に含められる「ルールシステム」については、「自由と管理、各々での制限」をご覧下さい。これも私の説明不足でして、恐縮ですが、そのような意味でご理解ください。デザイナーが「ルール」と命名すれば「制限」ということではないのです。

以下、問1から問6までのお返事です。

問1.「組織から依頼を受け、そのミッションを果たす」という内容のTRPGシステムがあると仮定して、セッションが開始し、さっそくボスからミッションの連絡がきた際、「依頼を拒絶する」ことは、自由なTRPGできるのか

答1. できます。もちろん、そのPCの行動に対して、世界設定に基づいたNPCの行動(叱咤~死刑など)が予想されますが、それらはルールシステム(行為判定)によって解決されます。

問2.「ある戦の神のプリーストは、一騎打ちを受諾したら、死ぬか、相手が降伏するまで戦う教義である」と仮定して、特に理由(その相手を殺したくない、死ねない理由がある)がなくても、「一騎打ちをしても自分がやばくなったら、さっさと逃げる」ようなPCは、"自由なTRPG"では許されるのか?

答2. そのプレイヤーが自分のキャラクターに「逃げようと」させることはできます。それを他のキャラクター(PCとNPC)が許すかどうかは、世界設定などに基づいて、各プレイヤーやゲームマスターが独自に決めます。

問3.上記のようなプリーストのPCがいた場合、一騎打ちになりそうな雰囲気のシチュエーションや、NPCをシナリオに用意するのは、「管理」に属するのか

答3. そのような状況やNPCを用意すること自体は、「管理」には属しません。

問4.自由なTRPGをプレイしていて、「制限」にかかるプレイをした場合は、GMは注意することができるのか

答4. 「ルールシステム」による「制限」では、ルール処理上できるか否かによって行動が「制限」されます。「世界設定」による「制限」では、ゲームマスターや他のプレイヤーによって注意されますが、抵触か否かの判断は全員で話し合って決めることになります。

問5.ハンドアウトは「制限」だと思うのですが、ハンドアウトが使用されたら、即管理なTRPGなのか

答5. 「ハンドアウト」は「制限」ではなく、「管理して遊ぶゲームプレイ」のためのプレイテクニックです。ただし、「ハンドアウト」をゲームマスターからの一提案以上に扱わないのであれば、使用しても「自由に遊ぶゲームプレイ」と見なしてよいでしょう。

問6.管理なTRPGで「自由度 小から中」ができるのなら、自由なTRPGは「自由度 大」ができるプレイスタイルなのか?

答6. 「自由度」は「管理して遊ぶゲームプレイ」にしかありません。ゲームマスターが許すか否かを気にせず、「自由に」行動できるのが、「自由に遊ぶゲームプレイ」です。

以上です。定義が明確でなく、ご迷惑をおかけしたことは返す返すもお詫び申し上げます。それに気づいたのも諸賢との意見交換のおかげであり、深く感謝しております。

なお、ご意見へのお返事より先に、次回は「自己管理」を、次々回は「自由と管理との混在」について記します。ご了承ください。

(※水無月冬弥さん宛トラックバックに送信エラーが起こっておりました。8月22日06時45分に再送。)