自由に遊ぶ、その一例

実際の「自由に遊ぶゲームプレイ」はどのようなものであるのか、次のような場面を題材にして考えてみます。

んー。一人は魔王を倒しに山へ出かけ、もう一人は洗濯をしに川へ出かけたら、どうなるのかなぁ。

上記リンクは高橋志臣さんのブログ宛になっていますが、井上(仮)さんが挙げられたネタです。感謝しつつ、勝手に使わせてもらいます。もうちょっと具体的に、次のようなゲームプレイと想定。

  1. ゲームマスターは、ゲームプレイを面白く遊ぶためのネタとして、「山の城に棲む魔王」の情報を出し、「魔王退治を依頼するNPC」を登場させた。
  2. プレイヤーAは、ゲームプレイを面白く遊ぼうと真摯に考えて、自分のPCが「魔王を倒しへ行く」こととした。
  3. プレイヤーBは、ゲームプレイを面白く遊ぼうと真摯に考えて、自分のPCが「洗濯をしに川へ行く」こととした。

プレイヤーAは自分のPCを、プレイヤーBのPCに話しかけさせ、「一緒に山へ行く」か「一緒に川へ行く」とするかも知れません。話しかけもせずに、別行動をとらせるかも知れません。それはプレイヤーAが「自分が面白いと思う」ように決めます。様子見も結構。

  • プレイヤーA : (Bは何をするつもりかな?) Bさんの方を先にどうぞ。

ゲームマスターは、プレイヤーが決めたPCの行動を参考にして、状況の変化を描写したり、NPCに行動させたりします。これもゲームマスターが「自分が面白いと思う」ように決めます。

  • ゲームマスター : (じゃ、こちらも洗濯で返すか。) 川へ行くと、村の女たちが洗濯をしています。
  • プレイヤーB : (井戸端会議か、情報収集には最適だな。) 「こんにちわ」と挨拶して一緒に洗濯しながら、話をします。訊きたいことは...(以下略)

状況やNPCに対してPCに何をさせるか、あるいは何もせずに他の行動を取るかは、プレイヤーが「自分が面白いと思う」ように決めます。

  • プレイヤーB : (彼女らと絡むのも面白そうだけど我慢。) 挨拶だけして、そのまま川を遡ります。どんどん山奥へ。そうですね、例の山の方へ。
  • ゲームマスター : では、その山の近くまで行くと... (何を出せば面白いかな?) "隠されたものに気づく"判定をしてください。
  • プレイヤーB : 成功です。
  • ゲームマスター : (魔王の城の近くに簡単に近づけない方が面白いだろう。) 川の近くに、武装した兵士が一人、立っています。 (うん?一人じゃ不自然だったかな?まぁいいや。)
  • プレイヤーB : 一人かぁ。 (話しかけるか、不意打ちしてすり替わるか、尾行するか、どうするのが一番面白いかなぁ?けど、このPCの能力では...?)

プレイヤーBから期待する展開を言っても構いませんし、言わずにゲームマスターに任せるのも一興です。言ったとしても、それを出すか否かはゲームマスター次第。何が出たとしても、出たものに合わせて、またプレイヤーは行動していきます。

  • プレイヤーB : (彼女らと絡むのも面白そうだけど我慢。) 挨拶だけして、そのまま川を遡ります。どんどん山奥へ。そうですね、例の山の方へ、誰かと会うまで。
  • ゲームマスター : (誰かといってもなぁ。) ずいぶん山奥まで来たけど、誰とも出会いません。
  • プレイヤーB : (じゃあ、どうしようかな。) 人の足跡を探します。
  • ゲームマスター : では、"隠されたものに気づく"判定をしてください。 (城の人間がここに来るとすれば...?)
  • プレイヤーB : 成功です。
  • ゲームマスター : (召使が洗濯か、じゃあ裏口だな。) 川原から続く足跡に気づきます。草むらに隠された洞窟へと続いています。
  • プレイヤーB : (う、ダンジョンかな。一人では危険かぁ。) ちょ、ちょっと考えさせてください。
  • プレイヤーA : (うん、こっちの方が面白そうだ。) 森の中から「良いものを見つけたようだな!」と言って登場します。
  • ゲームマスター、プレイヤーB : うわ!びっくりした。 (さて、次はどうしよう?)

上記、登場するか否かは、プレイヤーA次第です。そうせずに山へ行くなら、それに合わせてゲームプレイは展開していくことでしょう。

ゲームプレイが「どうなるのかなぁ」との問いには、プレイヤーやゲームマスターが「どうするのかなぁ」によって答えられるのです。

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