「不死の神」プレイレポート (1997年執筆)

本論考は、1997年5月20日~6月11日に発表されたものです。文中の趣旨が、現在の筆者の考察とは異なる場合もありますので、ご注意願います。

鏡のキーパーによる、クトゥルフの呼び声プレイのレポートです。文中、太字になっている名前は、すべてPCのものです。

第1回(1997年5月17日) キャラクター作成

都内某大学ゲームサークルにて。拙いマスター(私)の元に集まったプレイヤーは5人(全員男性)。

まず舞台(現代日本5月下旬から)とルールの改変・追加について説明する。(Crowe III,John H.,Coming Full Circle,Pagan Publishing 1995を元に一部改変した霊能力ルールを使用、など。)

まず「発端」として次のような内容の文を提示する。

「千葉県千葉市の、とある高校の社会科教師・朝霞浩介(男43歳)が、富士五湖の一つ西湖湖畔の道路で死亡した。警察は状況から居眠りによる事故死として発表した。」

上記の内容に絡めてキャラクターを作成してもらう。完成したキャラクターは次の通り。(キャラクター名の五十音順)

  • 朝霞健介(男43歳) 刑事。朝霞浩介の双子の弟。テレパシー能力を持つ。プレイヤーはSさん。
  • 有明春美(女24歳) 高校の社会科教師。朝霞浩介の同僚。プレイヤーはIさん。
  • 志摩 雅(さえ)(男23歳) 作家としてデビューした大学生。朝霞浩介の後輩に当たる。プレイヤーはTさん。
  • 田中文史(男29歳) 保険会社の調査員。会社から事故死の調査を命じられた。プレイヤーはYさん。
  • 源 政子(女18歳) 病弱な高校生。朝霞浩介の教え子。サイコメトリー能力者。プレイヤーはKさん。

次回(5月24日予定)は事故から一週間経った朝霞浩介の通夜の晩から始めるということを告げ、第1回目は終了。

(この後、更に二人のプレイヤーから参加の意向を伝えられた。どうなるかは次回の都合次第。)

(以上、1997年5月20日)

第2回(1997年5月24日) 第1回目プレイ

プレイヤーの一人Yさんが都合で参加できなくなる。残りの四人でまずキャラクターの細部設定を話し合う。結果、以下の4人による参加となる。

  • 朝霞健介(男43歳) 警視庁の刑事。朝霞浩介の双子の弟。テレパシー能力を持つ。兄である浩介も能力を持っていたらしいが詳しくは知らない。東京の官舎に住んでいるが、有給休暇をとって千葉に来ている。プレイヤーはSさん。
  • 有明春美(女24歳) 美浜高校の社会科教師。朝霞浩介の同僚であるが、母校須弥山(すみやま)大学の民俗学研究会の後輩でもある。千葉市中央区のアパートに住んでいる。プレイヤーはIさん。
  • 志摩 雅(さえ)(男23歳) 作家としてデビューした大学生。鳳凰寺出版社からオカルトアクション小説を何冊か出している。須弥山大学民俗学研究会の一員であり、朝霞浩介の後輩に当たる。実家は横浜の良家だが、現在は高円寺に下宿中。プレイヤーはTさん。
  • 源 氏女(うじめ)(女18歳) 美浜高校に在学中の病弱な高校生。病弱ゆえに何度か留年しており、現在2年生。サイコメトリー能力者。朝霞浩介は彼女の能力のことに気づいており、何かと親身になってくれていた。家は佐倉市で、母親に車で送ってもらっている。プレイヤーはKさん。

(ちなみに上記「須弥山大学」「美浜高校」および「鳳凰寺出版」は架空の設定である。)

朝霞浩介の通夜の晩からプレイ開始。(開始時刻は午後3時45分。)

(シーン1:通夜の晩 土曜日)

習志野市の住宅街にある朝霞浩介の家にて。朝霞は妻と高1の娘、小6の息子と別居していた。僧侶の読経の中、PCたちは出会う。遺族である朝霞健介を見て源氏女は驚きの余り気分を悪くする。

通夜が終わり思い出話をしていると、美浜高校の理科教師・川村昭次(かわむらしょうじ)がやってくる。川村は故人に「奇妙な形のものを預けていたので、それを返してほしい」と言う。朝霞健介が詳しい話を聞こうとすると慌てて帰っていった。

一方、他の三人は塀の外から家の中を伺っている男を見つける。しかし志摩が近づくと男は逃げていった。

そこへ二人の訪問客、千葉県警の寺内刑事と山梨県警の山本刑事がやってきた。二人は、「朝霞浩介は何をしに西湖に行っていたのか」「水泳部の顧問だったのか」「ペットを飼っていたか」などと質問をした後、翌日にも遺品を送り届けると告げ、帰っていった。

(シーン2:日曜日午前 朝霞浩介の家)

川村が預けていたという品を探すため、また朝霞浩介の最後の旅の目的について調べるため、PC一行はまず朝霞浩介の家に集まった。

やがて警官が遺品を届けに来る。焼けこげた遺品の内訳は、小型の旅行かばん、もはや読めない手帳、スキューバダイビング用品一式とそして幾何学模様が刻まれた樽状の白い物品であった。石とも金属ともつかない奇妙な材質のそれは、全く焦げていないばかりか、不思議なことにペンで文字を書くことも引っ掻き傷をつけることもできなかった。志摩はその幾何学模様の中に数多くの星型模様が表れているのに気づく。

源氏女はその品などにサイコメトリーを試みた。その奇妙な物品からは「存在自体が危険なほど強大すぎる力が眠っている」イメージと「それをかろうじて眠りの中に抑えている、他のどこか爬虫類的な雰囲気を持つ力」のイメージを、また朝霞浩介が最後に襲われた「驚きと恐怖」を感じ取った。奇妙な態度から彼女の能力に気づいた朝霞健介は自分の能力を彼女に打ち明け、それらのイメージを知る。

(シーン3:日曜日午後 朝霞浩介のアパート)

PCたちは志摩の車に乗り、朝霞浩介のアパートに向かう。その途中で朝霞健介は一台の車が尾行しているのに気づく。

アパートに着いた一行はその2階にある部屋の家捜しを始めた。その結果、

  • 書棚に雑多に並べられたオカルト関係を含めた様々な書籍(日本神話、かぐや姫、後漢書、エジプト神話、魔女に関する洋書、富士五湖観光ガイド、など)
  • スキューバダイビングの初心者向けマニュアル本
  • 押し入れの中の金庫にあった石の円盤(中心に目のある星型が書かれていた)
  • 膨大な量の研究ノート
  • 買い置きのカメラ用フィルム(部屋にも遺品にもカメラはなかった)

などを見つけ、それらの一部は持ち帰ることにした。

電話のリダイアルは須弥山大学につながったが、志摩の民俗学研究会には朝霞浩介は数年来顔を出していなかった。また朝霞は電話機に何度か分解された形跡があることに気づき、はその部屋に「恐怖に立ち向かう強い意志」を感じ取った。また家捜しの途中で、見知らぬ男が窓を見ていたり、志摩の車の横に立っていたりしているのを見かけた。

最後に部屋の様子をデジタルカメラに撮影した一行は、近くに止まっていたはずの尾行の車がいなくなっているのを不審に思いつつも、車に乗り込んだ。

帰路に就いたPCたちはやがて車のブレーキが利かなくなっているのに気づく。赤信号で一人轢きかけたが、志摩は車をガードレールにこすり付けて辛うじて止めるのに成功した(ちなみに成功率20%)。荷物をもって逃げ出した一行の背後で車は爆発炎上。しばらく離れたところからそれを見届けた件の尾行車はUターンして姿を消し、やがてパトカーや消防車のサイレンが夜の空に響き始めた。

(終了時刻は午後8時10分)

(マスターの反省)

情報収集は非常に順調であったが、アクションシーンがほとんど無かったため少々だらけてしまったのが悔やまれた。プレイヤーは予想以上に積極的に発想を出してこちらを驚かしてくれて嬉しかったのだが、他方アクションにつながる行動は皆無であった。仕方がないとも思うが、中途で多少強引にアクションを加えても良かっただろうか?

(以上、1997年5月28日)

第3回(1997年5月31日) 第2回目プレイ

事故の夜の事後処理から開始。(開始時刻は午後3時20分。)

(シーン3の続き)

事故について警官に聞かれたが、刑事の朝霞が不審な人物にブレーキを壊された旨伝えたので、警官らは至急検問を張ることを約束した。

その夜、志摩は朝霞浩介の部屋から持ち帰った研究ノートを熟読した。4~5年前までは普通の民俗学に基づくフィールドワークであった内容が、やがて各地に残る遺跡の記録や古い伝承と世界の神話との比較など、民俗学者らしからぬものに変化していた。また、ペリシテ人の海神ダゴンを始めとする各地の海の神の混同や、富士山麓の遺跡、偽書とされている宮下古文書を引用した形跡なども見つかった。

(シーン4:月曜日・美浜高校)

早朝出勤して朝霞浩介の机を調べていた有明春美は、理科教師・川村に校長が呼んでいることを伝えられる。不審な素振りを見せる川村を尻目に校長室に行った有明は、転入生を担当するよう命じられる。奈良県橿原市から来たというその少女・三輪春歌は、朝霞浩介の死について有明に問いかけた上で、朝霞が「いい人ではない」ことを匂わせるような発言をする。

有明は、春歌をクラスの生徒に紹介した後、クラス全員で西湖にピクニックに行くことを提案する。

(シーン5:月曜日・魚怪あらわる)

かかりつけの病院から朝霞浩介の家に向かったは、前日朝霞のアパート周辺に現れたコート・帽子・サングラスで身を隠した3人の男たちに囲まれる。朝霞から預かっているものを渡すよう詰め寄った男たちは、埒のあかないを無理矢理車に押し込め、そのまま連れ去る。

ちょうどその時、浩介の家で弔問客の連絡先を調べ、西湖へ行く準備をすべく出てきた朝霞健介は、を載せた車が出ていくのを見つける。九十九里方面に向かう道を走る車を、朝霞は尾行した。

車内で必死に抵抗していたは、男の顔を叩き、その拍子に男の素顔があらわになった。カエルと魚を足して二で割ったような顔に、皿のような魚眼が動いており、横一文字に裂けたような口が大きく開くと魚の腐ったような臭いがの顔にかかった。首筋にピクピクと動くエラを認めたは混乱して暴れ出す。男は当て身でを気絶させた。

車内の変事に気づいた朝霞は、男たちの車を止めるべく横から自分の車をぶつける。数度互いにぶつけ合ったが、双方一歩も譲らない。その時後方から一台のバイクが現れた。フルフェイスヘルメットのライダーは、朝霞の車に気を取られている魚怪の車に近づくと、いきなり銃弾を運転手に撃ち込んだ。

スピンし、壁にぶつかった車に朝霞は慌てて走り寄るが、車内から気絶を免れた魚怪が現れる。混乱するも殴り合いを始める両者。しかしやがて静観していたライダーの銃声が魚怪に止めを刺す。朝霞に逃げるよう指示した声でそのライダーは女と知れたが、言葉と同時にダイナマイトを投げるのを見た朝霞は辛うじてを車から助け出す。

爆発が魚怪ごと車を吹き飛ばし、朝霞が立ち上がったときには女ライダーの姿はなかった。

(ここで30分ほど休憩をとる。)

(シーン6:月曜日の夜)

朝霞浩介の家に集まった4人のPCは、その日に自分たちが知ったことや体験したことを伝え合う。朝霞は自分たちの霊能力を有明志摩に打ち明けた。また志摩の調査結果と朝霞健介の知識から、朝霞浩介が奇妙な調査を始めた頃と浩介夫妻の別居が同時期であることが分かった。

その時、塀の向こうから中を伺っている不審人物を見つけた彼らは、その男を捕まえる。その初老の男は、須弥山大学の考古学教授・秦野重蔵であった。

PCらに詰め寄られた秦野は、朝霞らが魚怪を見たと聞くと、やがて自分と朝霞浩介の関係について語り始めた。この地球には神話よりも古く強大な力を持つ神にも等しい生命がおり、秦野重蔵は眠りについているそれらの生物について調査しているという。フィールドワークの中で怪事件にあったのをきっかけに、朝霞浩介もまたその真の神話に対抗する仲間であったというのだ。また、朝霞には人に見えないものを見る能力があったこと、朝霞は富士山麓にかつてあったといわれる徐福の築いた都を探していたこと、朝霞の最後の電話は、「高天が原を見つけた」というものであったこと、朝霞の部屋にあった星型はエルダーサインと呼ばれる封印具であることなどを告げる。秦野はPCが出した樽型の物品を自分の家で保管したいと希望した。

その時、電話のベルが鳴った。話相手に有明を指名したその声は、三輪春歌と名乗る。朝霞浩介を「泥棒」と呼ぶ彼女は、そこから逃げないと死ぬと告げる。

心当たりのあるPCたちは、朝霞浩介の妻子を起こすと、急いで車に乗り込んだ。発車と入れ替わりに乗り付けてくる複数の車。辛くも逃げたPCの車の前に、突然川村が立ちはだかる。薄笑いを浮かべながら逃げられては困ると詰め寄る川村を、ハンドルを持つ朝霞は急発進で跳ね飛ばした。

一行はそのまま千葉県警に保護を求める。怪物話を隠して都合を説明するも今一つ信用してもらえない朝霞であったが、一応その夜の危機を逃れることには成功した。

(終了時刻は7時50分頃。)

(マスターの反省)

前回よりも単独行動が増えたため、プレイヤーが時間を持て余していた。情報量が多すぎたせいもあって、プレイヤーが全体の流れを把握できない面もあったように思われる。私個人としては好きなアクションシーンも、戦闘が少ないのは仕方ないにせよ、単純なダイスの振り合いに終始してしまい、緊張感に欠けたようだ。カーチェイスルールを採用すべきであったか。次回ですべてに決着がつくが、はたして謎=ネタにどこまで迫ってくれるだろうか?

(以上、1997年6月4日)

第4回(1997年6月7日) 第3話

(開始時刻は午後3時30分)

(シーン7:火曜日 朝)

千葉県警にて一夜を過ごした朝霞浩介の妻子、秦野重蔵、そしてPCたちは、明朝出勤してきた寺内刑事に、通夜の晩に彼がした朝霞浩介の死についての不審な質問の件を問いただす。悩み、また山梨県警に連絡をとった寺内は、朝霞浩介の死因が実際には生物毒による中毒死であったこと、おそらく蛇のものであろうその毒が世界でも稀なほど強力なものであったこと、観光地であるがため圧力がかかり秘密にしたことなどを語った。そしてなぜか蛇の噛み跡が残っていた遺品=カメラをPCたちに渡した。蛇毒によって侵食されたフィルムの中でただ一つ判別可能な第1枚目の画像は、ふもとに小山を抱く富士山を湖面越しに撮ったものであった。のサイコメトリーは、毒の跡からは「根元的死」を、フィルムからは「覚悟」を感じ取った。また寺内は朝霞浩介の宿泊所や、彼が何かを探していたらしいこと、西湖に見切りをつけていたらしいことを伝える証言のあったことを教える。

朝霞家に急行した警官の、すでに襲撃者の姿はなかったこと、家捜しした痕跡があったこと、川村の死体がなかったことなどの報告を受けたPCらは、寺内に朝霞浩介の妻子の保護を申し出る。

有明春美は三輪春歌に電話をかける。若い女性の声に取り次がれた春歌は、有明が無事であったことにはさして喜ぶ風を見せず、魚は女好きだから気をつけろなどと言って電話を切った。

(シーン8:火曜日 西湖)

PCたちは、秦野重蔵とともに志摩の車に乗り込み、人数分のスキューバダイビング器具、護身のために水中銃などを購入した上で、西湖へ向かった。また朝霞は一度警視庁に戻り、自分の銃を持ってきた。

西湖についた一行を迎えたのは三輪春歌であった。問い詰めるPCらに春歌は、自分がオオクニヌシノミコトの巫女であること、朝霞浩介はオオクニヌシノミコトの神殿にあった物を盗んだために神罰で死んだこと、神殿の場所は知らないことなどを告げる。

やがて一行は、カメラに残されていた写真から、神殿の場所が精進湖にあるという推測に至る。

(シーン9:火曜日 精進湖)

マリンスポーツ用品店の店主らに話を聞いたPCらは、朝霞浩介がダイビングスポットに決めたとみられる地点へ向かった。

近くの駐車場に車を止め、準備を進める一行は、自分たちを見張る不審な車を発見した。

対処を決めかねている一行の前に三輪春歌の姉・紫織が現れた。ライダースーツを着た彼女は、魚怪と戦う朝霞健介を助けた女ライダーに間違いなかった。紫織は「樽状の物品」を神殿に返すよう申し出、聖域に入れば魚怪は追ってこれないはずだという。結局まずは神殿に入ることに決定。姉妹らのダイビングスーツを買いに行く一行は、不審車のトランクのところにダイビングスーツの長身の男を見とめる。

全員揃って湖水に身を投じた一行は、湖底に深く続く水路を発見し、後から猛スピードで迫る水音を聞きつつも前進した。志摩は、水路の途中に用意しておいた網をうまく張り、時間稼ぎに成功する。しかし水平に長く続いた水路が上に傾いてきた頃、有明がふと足元に周囲に巡らしたライトの光の中に、魚怪が姿を現した。闇の中、他にも数体いるようであったが、伺うようにして襲ってはこなかった。

やがて水の中から地底の空洞に出た一行は、神殿が近いことを知り先を急ぐ。はその洞窟が溶岩が固まったものであることに気づいた。

(シーン10:地下神殿)

巨大なドーム状らしき空間に出た一行は、潜水用の装備を解き、銃器等を準備すると、追手対策にサラダ油を床に流しながら、暗闇の中心に向かい進んだ。じきに蛇の意匠を凝らした台座を見つけた一行が「樽状の物品」をそこに置こうとした時、後ろから何者かの転ぶ音が聞こえた。あらわれたダイビングスーツの男は川村であった。自分が古き一族の末裔であること、純粋な連中は神殿の中に入ってこれないこと、PCらに轢かれたため止まっていた肉体の変化が再開したことなどを打ち明けると、彼の整った顔立ちと細身の長身は、魚怪のそれに変化していった。しかしショックを受けながらも放たれた拳銃や水中銃の前に川村は倒れ、有明の別れの言葉を聞きつつ事切れた。

今後のことを考えるべく再度台座を振り向いたPCらの前には、台座に絡み付いた巨大な白蛇がいた。慌てて平伏す紫織と春歌は、それをオオクニヌシノミコトと呼ぶ。テレパシーを試みる朝霞を思念で一蹴した白蛇は、姉妹の任を解き、またPCらに立ち去るように命じる。PCらの問いかけに白蛇は、「樽状の物品」は彼のごとき存在(蛸のような頭をもつ有翼の怪物)の似姿をその存在から預かって封印したものであること、神殿を荒らした朝霞浩介を眷族を放って殺したこと、またこれで神殿を閉鎖することを告げる。

虚空に開いた「門」に入るよう白蛇は命じ、従った一行は、奇妙な空間を抜け、精進湖の湖面に現れた。すでに魚怪の姿は見えなかった。

未解決の謎を抱きつつ、PCらは帰途についた。途中、バイクに乗った姉妹は別れを告げ、関西方面に進路を取り、去っていった。

PCらは再び日常に戻っていった。朝霞健介は再び刑事としての慌ただしい生活へ。有明は春歌と川村のいない学校生活へ。志摩は大学と作家業の掛け持ちの毎日へ。しかし彼らの日常が、数日前までのそれとは異なることは皆気づいていた。

(終了時刻は午後8時10分ごろ)

(マスターの反省)

かくして今回のプレイは終了しました。 一応の形はついたものの、マスターの自己評価としては「失敗」に近いものであったと判断しております。

決めていた3回のプレイの中では、当初の設定の半分も出せませんでした。悪役の一人を出す時間的余裕が無かったばかりか、題名にある「不死の神」すら出せなかったというお粗末さです。ペース配分の見積もりがまだ甘く、また情報の出し方やNPCの行動表現などの面で自分の未熟さを再認識させられました。

参加したプレイヤーが情報整理に慣れていないことも一因でした。マスターの想定する「常識的行動」が必ずしも行われないため、情報提供が想定したタイミングから大きく外れることもしばしばでした。逆にプレイヤーの予想外の質問に対する苦しい返答が、クライマックスの戦闘を潰してしまったりしたこともありました。

また、これは「人系列シナリオ」の弱点でもあるのですが、プレイヤーがある程度想定された筋に絡んでいないと主要NPC(脇役)が対処できず、全体の進行が遅れることが多々ありました。

ただ、このように失敗や反省の多いプレイでしたが、プレイヤー諸氏の人徳もあって楽しいプレイではありました。彼らには感謝しております。次の機会にはもっと楽しいプレイになるよう、お互いに努力したいと思います。

なお、今回のシナリオは別メンバーでもプレイする予定でしたが、時間がかかりすぎる点が解消できそうにない為、予定変更せざるを得ないと考えます。本当に一回のプレイで終わるシナリオを作って再挑戦することにします。

(以上、1997年6月11日)