謎を解いて欲しければ「管理」しましょう

水無月冬弥さんからトラックバックをいただきました。有難うございます。

題名では「ありえない」ですが、内容は「やりたくない」という趣旨になっていますね。それはともかく、以下お返事。

まず、「制約の無い自由なんてそもそもありえない」との見解については、過去にも触れた通り、私も同じ意見です。ただし私は、ルールシステムや世界設定に基づく「制限(制約)」と、シナリオ作成者やゲームマスターの「期待/願望」に基づく「管理」とを、明確に分けて考えています。プレイヤーの発想や決断が「制限」されても「管理」はされない状態が、私の言う「自由」です。この点をご理解の上で「無茶で非現実的なもの」か否かをご判断ください。

そして、「ミステリーシナリオだから、謎を解く姿勢だけは見せて欲しい」というのは、シナリオ作成者/ゲームマスターとしての「期待/願望」に属します。それを満足させたいなら、そうならないことを「おかしい」だの「つまらない」だの非難してもダメで、プレイヤーを「管理」することで実現しなくてはならない、というのが私の考えです。察してくれるプレイヤー相手であっても、「手間や苦労」で恩を着せ続けるには限度がありますから。

昨今一般的な「管理」方法としては、「このシナリオでは○○の謎を解いて欲しい」と率直に述べる(ぶっちゃけ)か暗示する(今回予告)、個々のキャラクターに「○○の謎を解かなくてはならない」という設定を与える(モチベーション)、などが挙げられます。これらの技法には色々と短所もありますし、シナリオ作成やマスタリングの「手間や苦労」を増加させますが、「期待/願望」を叶えるには適しています。

以下は、他のご質問への回答。

何故リプレイや小説を取り上げたのか、について。それらが「管理」と相性が良く、「自由」とは悪い、というのは度々述べてきたことです。「推理小説」の話が出たので、再度触れておきました。

何故ミステリーシナリオを取り上げたのか、について。それが「自由」とは相性が悪い、と思いこんでいる方がいるだろう、と考えたからです。

余談ながら、ミステリーシナリオについて考えるに、東野圭吾『名探偵の掟』(講談社文庫)辺りは面白い資料だと思います。謎解きをさせられるプレイヤーの心境に通じるものがあるかも。

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