内閣法制局長官と憲法96条

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先日、(元)駐仏大使の小松一郎氏が内閣法制局長官に就任した、というニュースを、大変面白く聞きました。憲法96条絡みで。

物議をかもした日本国憲法96条は、憲法改正の手続きを定めた条文です。短いので、全文引用(太字は鏡による)。

九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

自民党の改正案では、第百条となって、次のようになっています(太字は鏡による)。

第百条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、直ちに憲法改正を公布する。

この自民党案って、フランスの憲法改正手続き(フランス共和国憲法第89条)に、よく似ているのですね。駐仏大使経験者なら、その辺の事情と実態には通じてそうです。憲法改正に制限がある(現行の日本国憲法には無い)ことも含め、幾度もの改正でより良いものを目指してきた諸憲法から見習うことは多いと思います。

あと、フランスの憲法改正について思うのは、司法も国民も政治家をまったく信用していない、ということです。日本国憲法は、どちらかと言えば政治家依存で、国民の(有効投票の)過半数の賛成よりも、政治家の三分の一の反対の方を重んじるわけですから。政治家以外の日本人は必ず間違える、という虚構(Fiction)があるのかも知れません。

そう言えば、「日本人はアーリア人の真似をしていないと必ず過ちを犯す」という主張はありました。となると、「護憲」はナチス、か。

あ、「ナチス」という言葉を使ったら、どう使ってもダメ、みたいな話もありました。「バルス」みたいだ。「ナチスは悪」という虚構(fiction)は、いまだに信仰篤いらしい。

ついでに、RPG論考について。あらゆるカテゴリーで更新が止まったままですが、夏風邪の余波と暑さとダイエット(失敗予定)のせいにしておこう。リハビリ代わりに「冬の時代」についての単発論考を書きましたが、これも予告したままになっていたヤツです。ゲオマキナのためにBRPを、モチベーションのために本を、もう少し読んでおかなくてはなりません。

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