CoC7考(6) 不定の狂気に陥り易くなった理由

クトゥルフ神話TRPG』(CoC)の最新版『Call of Cthulhu RPG 7th edition』(CoC7)のルールシステムについて、あれやこれやと考えたことを書いてまいります。その6回目は、「不定の狂気に陥り易くなった理由」について。

CoC7における「狂気」は、「狂気の治癒」に至るまでの期間、「狂気の発作」と「狂気の潜伏」とを行き来する状態、となりました。「正気度」(Sanity;SAN)の減少によって「狂気」に陥ることは旧版CoCとほぼ同じですが、次のような変更によってキーパーとプレイヤーの負担が大幅に軽減されています。

  1. 「不定の狂気」(無期的狂気)に陥り易くなった
  2. 「狂気」に陥った後どうなるかがルールで決まるようになった
  3. 「一時的狂気」や「不定の狂気」の期間も、探索可能となった

「不定の狂気」には、旧版CoCでは「1時間以内」にSANが1/5以上減れば陥りましたが、CoC7では「1日以内」となりました。ゲームプレイを「1時間」単位で管理するのは面倒ですが、「1日」単位なら容易です。旧版で「不定の狂気に陥ったキャラクターはしばらくの間プレイから外れていなければならな」かった(p.91)のに対し、CoC7では「不定の狂気」中でもプレイを続けられますから、狂っても安心。

「狂気の発作」には「短期」(Realtime)と「長期」(Summery)とがあり、なるべく「短期」(1D10ラウンド)で済ませるには、単独行動を避けねばなりません。「長期」でも1D10時間で、正気に返るか「潜伏」状態になりますから、狂っても安心。もう、狂ったらおしまい、ではないのです。狂っても安心、ですから、キーパーは遠慮なくSANを減らせるわけです。

ところでCoCでは、「発狂」とは「救済」です。狂わなかった後、狂えなかった先に、真の「恐怖」があります。CoC7では狂ったまま探索できるので、狂っても「恐怖」から逃してはもらえなくなりました。「不定の狂気」に陥り易くなった理由とは、キーパーやプレイヤーを楽にすることと、おそらくは探索者をもっとひどい目に遭わせることなのです。

以上で、予定された内容は終了。他にも思いつきにて、某か書くかもしれません。

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