正気度が示すもの

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「クトゥルフ神話TRPG」(CoC)には「正気度」(Sanity;SAN)という独特の能力値があり、キャラクターが「どの程度正気を保っているか」を示しています。このテーマでは、この「正気度」に「日常的な人間生活への愛の深さ」「人々の平凡な幸せを守ろうとする心の強さ」という意味を加えることとします。テーマ性を強めることに加え、「正気と狂気」よりもロールプレイとして表現し易いと考えるためです。

「正気度」が高い者は、ありのままの自分に対して肯定的です。普通の自分を愛するが故、普通の他人をも愛し、すべての者の普通の暮らしを認め、大切にすることができます。そして皆の日常を守るためには闘いをも辞さないという「心の強さ」を持っているのです。

「正気度」が低い者は、今現在の自分に強い不満を感じています。より素晴らしい自分をこそ愛したいと思うが故に、常に上を目指し、そうしないで普通に暮らしている者を厭います。彼らの闘いは、皆のためではなく、自分のためにあります。

「正気度」が減ることは、日常への愛が失われていくことを意味します。人類を無視したクトゥルフ神話の真実は日常の無意味さを見せつけ、非人間性の果てにある強大な力は実の無い闘いよりも魅力的に映るでしょう。真実や力による誘惑は、探索者の人類への愛をすり減らしていきます。

「正気度」が増えることは、日常への愛を確認し、強めることです。神話勢力との闘いの果てに(一時的にでも)勝利を収め、自分が人類を守ったと認めた時、探索者の自己肯定の心は大いに奮い立たされます。クトゥルフ神話について知れば知るほど、その喜びも限りあるものとなっていきますが、また次の闘いに挑むことができるようになるのです。

一時的狂気」は、自分の無力さや闘いの無意味さを知った時のショックで1~3分間ほど我を見失ったり、半日~4日間ほど心を塞いでしまう状態を表わします。「不定の狂気」も同様ですが、より大きな落差により1~6ヶ月ほど心を塞ぎ、煩悶を続けることとなります。

永久的狂気」は、神話勢力に負け続けた探索者が、ついに人類への愛を失った状態です。最早彼らは何の遠慮も良心の呵責も無しに、ただ自分のためだけに神話勢力に加担していくことができます。日常の中に愛を求めるのではなく、無慈悲な真実の世界に力のみを探るようになるのです。

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このページは、が2007年1月 3日 21:58に書いた記事です。

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