BRPの世界観

汽動重機ゲオマキナ」に相応しい「世界設定」を探るため、それに採用されたルールシステム「Basic Roleplaying」(BRP)の背景にある「世界観」を探ります。あくまでも私なりの解釈ですが、この手間を省くと「ルールシステム」と「世界設定」がチグハグになりかねませんので。

BRPのルールブックには数多くの追加ルール(Option Rule)が掲載されており、「世界設定」(World Setting)ごとに使い分けられるようになっています。追加ルールひとつひとつの「世界観」は省き、すべてに共通する特徴を挙げると、次の通りです。

  1. 世界の様々な要素を、「能力値系」と「技能値系」との二系統の数値で表現する。
  2. 能力値やダメージなどの「能力値系」は、生物種によって範囲が決まる。
  3. 能力ロールや技能値などの「技能値系」は、百分率(%)の範囲に収まる。
  4. 「能力値系」と「技能値系」とは、「能力値系×5=技能値系」の関係で結ばれる。
  5. 判定は、ダメージ算出などを除き、どちらの系統でも百分率(%)で行われる。
  6. 判定の結果は、サイコロの出目によって誰の目にも明らかに、成功か失敗かが決まる。
  7. 判定に用いる数値がどれほど高くとも、失敗する可能性(出目)が常にある。
  8. 判定に用いる数値がどれほど低くとも、成功する可能性(出目)が常にある。
  9. ヒットポイントやパワーポイントなど、減少しうる数値は、増加(回復)しうる。
  10. キャラクターが、その生物種の限界を超えて成長することは、原則として無い。
  11. 生物種によって範囲が決まる能力値SIZ(体格)が大きいほど、肉体的に強い。
  12. ルールシステム上、プレイヤーやゲームマスターへの優遇措置は無い。

余談ですが、「能力値系」と「技能値系」とは『Call of Cthulhu RPG』(クトゥルフ神話TRPG)の第7版(未発売)で再編されるようです。いずれBRPでも再編されれば、上記の用語も修正せねばなりません。

さて、上記特徴の背景にある「BRPの世界観」を、私は次のように解釈します。

  • 世界のあらゆる事象が、同じような判定(%)で、成功か失敗かに分かれる。
  • いかなる判定でも、成功と失敗との両方を想定しておかねばならない。
  • プレイヤー用キャラクターであっても、活躍が約束されてはいない。
  • キャラクターはその生物種に可能な範囲で、創意工夫せねばならない。
  • キャラクターが死なない限り、運無く失敗しても再挑戦が可能である。
  • 運(サイコロ)に翻弄されつつ冒険する過程が、結果として「物語」となる。

以上のような世界観は、ルールシステム選択の根拠ともなります。例えば、以下のように。

  • サイコロの出目に翻弄され、ゲームマスターによる時間管理は至難なので、キャンペーン向き。
  • どういう展開になるかサイコロ次第なので、家で作ってきた通りの話にしたいゲームマスターには向かない。
  • 生物種の能力以上のことはできないので、活躍が保証されないと前に進めないプレイヤーには適さない。

ところで、前回例示した「陶工や料理などで、名人の失敗作と素人の成功作とでは、どちらが優れているか」について。BRPでは、「名人の失敗作よりも素人の成功作の方が優れている」となります。

それが私たちにとって現実的かどうかではなく、BRPというルールシステムがそのような「世界観」を組み込んでおり、そのためBRPで遊べばゲーム内世界はそのようになる、ということなのです。そこで、追加。

  • サイコロの出目によっては、プロが幸運な素人に負けることもある。それが嫌な者には向いていない。

次回は、このように解釈された「BRPの世界観」に追加されるべき「巨大ロボットの世界観」について考えます。

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